2019年02月17日

【お気楽自然育児Vol.5】未来を守る「持続可能な子育て」

つくば自然育児の会の会報で連載してきた原稿を、こちらでもアップしておきます。

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(2019/02/17執筆 会報no.245 3月分)

【お気楽自然育児Vol.5】未来を守る「持続可能な子育て」


miya :3月に4人目を出産予定
ホームスクール&家庭保育で9歳・4歳・2歳の子育て中
3月に4人目を出産予定、4月末に茨城県北の大子町に引っ越します♪


 第4子の出産まであとちょっと。もっと足腰鍛えるか!と思っていた矢先、近所の産科医(検査の2回だけ受診)に「もう絶対に安産だから。安産のための散歩とかしなくていいから。もう頚管長1cmだし、陣痛きたらあっという間に出ちゃうだろうから、家の掃除で充分」なんて言われ、調子こいてぐうたらしている私です(汗)。
 今回は「自然育児=持続可能な子育て、なのだ!」というお話。身の回りのこと、オセロをひっくり返すように、楽しみながらひとつずつ変えていった、私の体験談です。せっかく入った自然育児の会ですから、どなたかに、何かひとつでも、実験と思って試し、面白がってもらえたら嬉しいです〜。


●ベビーグッズにご用心

 私は育児の会のおかげで、ずいぶん色んな常識から解放されました。顧問の伊東先生のお話の数々はもちろん、過去会報でさまざまな先輩方の体験談を読むのも本当におすすめです!中でも「ベビー用」「赤ちゃんにも安心」の謳い文句に注意するように、との伊東先生のお話は、ストンと腑に落ちました。
 さらに、ストローマグ?エジソン箸?おばあちゃんの時代にはそんなものなくても子育てしていた・・・。そう考えると、いろんな商品を買う前に「ちょっと待てよ」と立ち止まれる、ゴミも減る、しつけも楽になる。成分のひとつひとつ、表示を見て検討する以前に、売り場やお店自体をバッサリと取捨選択できるようになりました。

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●おしりふき使わない育児

 最近は育児の会でも市販のおしりふき、ウエットティッシュを持っている人が増えたように感じます。赤ちゃんのお世話に必須アイテムかのように思われがちなおしりふきですが、濡れたものをそのまま保管できるわけはなく、化学薬品たっぷりなのはみなさん薄々感じておられるとおり…。「経皮毒」の吸収率は性器や口腔からだとなんと40%とのこと。赤ちゃん用、水が主成分で安心、な〜んて売り手の謳い文句はさておき、昔はどうしていたのか?で考えてみれば、水と布で事足りていたのです。か、買わなくていいじゃん・・・!
 ちょっとの水を小さなペットボトルやドレッシングボトルに入れ、古布の切ったのやコットン(おしりふきコットン※というものが西松屋に売っています)と共に持ち歩けば、それだけで大丈夫。コットンは濡らした後に薄く2〜3枚に剥いで使うのが経済的です。
 おむつなし育児だとお尻が汚れることも少なく、トイレットペーパーでもよく、もっと楽に。
※私は「こっちのが安い」という安直な理由で(笑)実母に薦められ、コットンで子育て開始でした。

 赤ちゃんの口まわりや手をウエットティッシュで拭く習慣も、よく考えると非常に怖いのですが、清潔信仰が浸透して今では当たり前の光景。でも、水道のない場所でも水や布を持っていればそれだけで大丈夫!
 まず少ない水で濡らし、汚れをゆるませて、最後にパチャパチャっと拭うように水仕上げ。布で拭いて完了〜。お水を忘れたら、手拭いでぎゅっと拭くだけでも。遠足用のおしぼり&おしぼり入れもいいですね。
 最初は1回のお出かけからお試しで、おしりふき&ウエットティッシュなし、皆でやってみませんか〜^^?

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●紙おむつ(石油おむつ)の向こう側

 伊東先生の例会ではときおり、紙おむつを濡らして腕に巻き数分過ごす、という体験がありました。これが実に気持ち悪くじっとり不快!わが子にゴメンヨ〜と感じた人が多数。布ナプキンの心地よさを知っている人だけでなく、ケミカルナプキンでかゆみ・かぶれを感じたことがある人なら、数時間だけでも、数枚だけでも、布おむつを暮らしに取り入れてみるのをおすすめします♪
※洗濯などのコツはVol.2布おむつ の回を参照ください。

 自然育児で有名な真弓定夫先生は、「紙おむつは石油で出来ている。それが原因で、昔なかった子宮内膜症や子宮筋腫など婦人科系の病気が増えている」といったお話をよくされていたそうです。女の子なら、思春期から閉経までずーっとケミカルナプキンやタンポンを使う可能性も高く(今は中高生の尿モレも激増だとか)、性器から体内に吸収・蓄積される環境ホルモンなどを考え始めると、せめておむつ時代くらいは布おむつで育ててやりたい、と思うのです。(生理痛が重かった私、思えば中学からずっとタンポン派でした・・・)

 紙おむつは便利でお手軽なんですが。働いたお金で紙おむつを買い、高分子ポリマーに全てを吸わせて、かさばるゴミにして捨て、税金と大量のエネルギーで燃やして埋め、地中から石油を取り出しておむつを作り・・・の不毛なループからちょっと外れてみると、子ども達の将来がぐっと持続可能なものになると思います。だって孫が生まれたとき、布おむつのことを教えてあげられるんですから^^ 母には本当に感謝しています。

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●テレビもスマホもちょっと離れて

 消費欲、購買欲を煽る一番のツールといえばテレビ。意図しなくても、音と光は脳にダイレクトな刺激(刷り込み)を与えるため、一度距離を置いてみる価値のある家電と言えるでしょう。情報源という意味では、新聞はセーブがきいてなかなかいいツールかもしれません。ネットのニュースよりはフラットに一覧できますから。
 パソコンやスマホを子どもにどう与えるかは、ご家庭それぞれ。よくよく考えていきたいところです。学生カップルのデート風景がずいぶん変わりましたね。男女それぞれ、ずっとスマホを操作しているんですから。・・・と思っていたら先日、産婦人科の待合室で2時間ずっと各自のスマホをいじっている夫婦に遭遇しましたヨ。

 スマホの困るところは、自分に極端にカスタマイズした情報社会に没入できること。たった2本の指だけで、何でもできてしまう(という錯覚)。裏を返せば、自分に都合の悪いことからは目を逸らして知らん顔もできる、それを助長しているのがスマホ社会だと感じます。自分の頭と体をフルに使って物事を乗り越えるような生き様を、まずは親の背中で見せていきたいな。

(私は、夫の仕事用タブレット画面がバリバリに割れていて、早く壊れないかなー♪と密かに期待しています。だって、タブレットばっかりいじってるパートナーの姿って、本当につまらないので・・・)

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 もうちょっと踏み込んだ話をすると、今の便利なスマホや携帯、精密機器ほか工業製品を支える貴重な金属類(レアメタル)の採掘・採取を巡る問題もお忘れなく。例えばコンゴでは武装集団による大規模で恐ろしい収奪・強姦・殺戮が繰り返されていますが、とにかく消費を煽りたい日本のメディアでは滅多に報道されません。
そこまでしないと手に入らない材料で、快適な私たち先進国の暮らしが実現されているのは、目を背けたいけれども事実。便利な電子機器への依存を拡大する前に、距離を置く、なくても暮らせないか考える、そんなワンクッションがあるといいなと思います。

※ノーベル平和賞を受賞した「ムクウェゲ医師」の活動、ぜひ調べてみてください。つくばで映画も上映されましたね。


●消費社会からは抜け出せる

 今は何でも「買う」のが普通ですが、ひと昔前の農村では、身の回りのものはほとんど「作る」のが当たり前でした。秋田の祖母は体が不自由になるまで醤油や味噌、漬物をずーっと作ってきたし、今でも筵(むしろ)織りの道具を大事にしていて、紐こそビニール紐に変われども、藁や葦でささっと筵を編んでしまいます。高知の祖母は障子貼りの際に白ごはんを小鍋で煮て糊を作っていたし、うどんが食べたいと呟いてあっという間に麺を打ってしまう人でした。カゴにほうき、衣類など、自然に還る素材で何でも作れていた時代から、ずいぶん遠くにきてしまいましたが、探せば今でも日本中に手仕事は残っており、手に入れることも、教わることも、大切に使い続けることも、可能なんですよね。

 何でも「買う」親を見て育つか、工夫して「こしらえる」親を見て育つかは、これからの環境や社会の変化を生き抜く子ども達にとって大きな分かれ道かもしれません。私の両親はケチだったのか環境保護だったのか、職場で大量に出る裏紙をどんどん持ち帰ってくれて、子どもの頃はお絵かきに不自由しませんでした。今は私が、日常で外からどんどん舞い込む紙類から、裏が白いものは全部お絵かき用にストック。折ってホチキス留めして、ノートにしてあげたりもします。写真のステキな雑誌やキレイな包装紙から、封筒やしおりを作ることも。祖父母の時代と比べると本当に微々たる工夫ですが、わが子に伝えられる大事な風景だと思っています。

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●病院と薬に頼り過ぎない

 Vol.4のお手当て・自然療法の回でも書きましたが、病院や薬を妄信しすぎないことも、持続可能な社会への一歩だと思います。コンビニやガソリンスタンド、地方銀行の支店閉鎖に続き、病院も過剰な医療供給から一転、どんどん選択肢が狭くなっていくことでしょう(だって人口ピラミッドが不均衡すぎますから)。
 そんな未来を見据えて今の家庭でできることといったら、そもそもの「抵抗力」「自然治癒力」をあげる暮らしと、病院に行くべき状態かどうかの「見極め力」を高め、子どもにも教えていくことに尽きると思います。

 知り合った産科勤務の助産師さんのお話。玄関で赤ちゃんが産まれ救急車を呼んだお宅に駆けつけて、呆れたと言います。「寒いのに、赤ちゃんを床に産み落としたまんま、誰も触りもせずに、ずーっと待ってたのよ・・・。」医療は医療の専門家にお任せ、こっちは何もわからないから、の意識が行き過ぎた結果ではないでしょうか。
 産まれること・死ぬことがほぼ病院の管理下になってしまった日本ですが、せめて日常の病気や怪我くらい、家庭に主導権を取り戻したいものです。


●「あると便利・安心」から「なくても大丈夫」へ
 被災した人なら分かるかもしれませんが、生きるのに必要なものって案外、少ないですよね。でも、消費経済を加速させたい日本にいる限り、買わないといけない気にさせられるもの、あると便利で安心そうなものがいっぱい。それぞれの暮らしの中で、ふと「これって、なくても暮らせるんじゃない?」と感じたものから、気持ちよく楽しく、お別れしてみてはいかがでしょう。
 私の場合は、化粧品、歯磨き粉、紙おむつ、おしりふき(ウエットティッシュ)、掃除機、冷暖房、電子レンジ、漂白剤、洗剤・・・と別れを告げてきて、ここ一年は冷蔵庫、洗濯機のない暮らしを楽しみました。夏には私個人の携帯電話も解約。別にどれがリバウンドしてもいいと思っていますが、「いらない」「なくても大丈夫」という実体験は、どんなセミナーやワークショップにも勝る、生きた「学び」でした。

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●子どもが大きくなったら「ゴミ拾い」を始めよう
 ゴミを見たとき、小さい子どもが触ると危ないからと「ばっちいよ!触っちゃダメ!」なんて言ってしまったり、大人が拾うと小さい子がやりたがってますます大変だからと、泣く泣く通り過ぎたり。自分の子どもが小さい頃のお散歩は、そんなジレンマがありました。でも、子どもが大きくなってきたら(4〜5歳くらいかな?)、街のゴミ拾いを一緒に楽しめるようになります。
 ビニール袋と使い古しの割り箸、できれば軍手&火ばさみ(トング)もあればベスト。道路が心配ならまずは公園からスタート。いつも遊ぶあの公園、通り過ぎるあの道この道・・・。ずいぶんゴミが落ちているな〜って驚くエリアは、つくば周辺にも案外ありますよね。
 ゴミを拾うのって遊びの延長であると同時に、学びが多いもの。自主的に(←これ大事)、一定期間ゴミ拾いを続けた子どもは、ポイ捨てをしない大人、周りの人や環境のために考えて動ける大人になります。
 食育も環境教育も道徳も、まずは家庭から。一緒にゴミ拾いができる日が楽しみですね♪

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・・・実は3月のはらっぱや例会にも行きたかったのですが、千葉の南房総からの道のりを考えるとドキドキするのでおとなしく静かに過ごしておきます。予定日の1ヶ月前には義実家と南房総観光旅行をして、(ご利益ありそうな)白馬に乗り、ゆったり温泉に入ったし、自分の誕生日には子ども3人を友達に預けて夫とランチデートしたし!産前を予定してた引越しも産後にずらしたし!思い残すことなく出産を迎えられそうです〜。

来年度もつらつらと、自然育児の楽しさをお伝えさせていただく予定です。どうぞよろしくお願いします^^

※暮らしのトライ&エラーを時々、blog『雑草屋の嫁日記』に綴っています。「小さな変革」や「消費社会」のタグをつけた記事に、関連記事があるのでよかったら見てみてください〜。

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関連記事:幼児のお箸に思うこと おむつかぶれの種類と手当て 誰のための漂白か タオルで布ナプキン生活 テレビのない暮らし ギフトカタログから封筒を作る ちいさな手帳を作る 洗濯機なし生活の記録 室内にジャングルジムやすべり台が要ると思ったけど


つくば自然育児の会 連載記事一覧:
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 【Vol.7】セットで大切「食と農」[2019/06/20]
 【Vol.6】奥が深いよ「自然なお産」[2019/04/25]
 【Vol.5】未来を守る「持続可能な子育て」[2019/02/17]
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 【Vol.3】強い子になる「外遊び」 [2018/09/22]
 【Vol.2】気軽に試そう「布おむつ」 [2018/06/19]
 【Vol.1】春夏に楽しむ「おむつなし育児」 [2018/05/12]
 電子レンジなし生活のコツ [2015/08/07]
 虫さされ対策 [2015/07/11] 
posted by miya at 20:23| Comment(0) | 自然育児の会連載 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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