2020年03月20日

アワ子の天寿

前回の続きです。

IMG_2473yagi_awako_kibita20190501.JPG
(左がキビ太、右がアワ子。座っているとキビ太が寄ってくるの図)


あまりにも急な、遠い場所でのキビ太(黍太)の夭逝について
私たちはしばらく咀嚼しきれず、アワ子(粟子)にもそれを伝えられずにいた。

心のどこかで、

 アワ子はキビ太を避けまくっていたから、
 関係ないわって顔をするんだろうな。
 それでがっかりしたくないな。

という思いもあった。

この二人がどんな関係を築いていたのか、
実際のところは誰にもわからないけれど。

P1070702yagi_awako_kibita20150927.JPG
(つくば、いすみ、大子と、アワキビは雑草屋のフィールドをあまねく草刈りしてくれた)


キビ太の訃報から4〜5日経ったころ、

 アワ子の様子がおかしい。
 キビ太のことがわかったのかな。

夫に言われて見に行ってみると、
アワ子の身体が霞んだような気配を放ち、
透徹した表情でじっとこちらを見つめて佇んでいた。

IMG_4871yagi_awako20191031.JPG

 あのひと、死んだのね。

とでも言っているような目だった。

 言ってなくてごめんね。
 キビ太は新しいおうちですぐに死んじゃったんだ・・・

IMG_6938yagi_awako_kibita20170322.JPG


アワ子はそれからしばらく、
生命力がぐっと弱ってしまい、そのまま儚くなるのではと心配もした。

でも秋から冬に向かうにつれ、なんとかまた調子を取り戻した。


子ヤギのときから夫が可愛がって育てて、

IMG100413yagi_awako20100413.jpg

きっと第一夫人のつもりでいたアワ子。

P1010124yagi_awako20130101.JPG
(何なの、このチビッコは)

P1010120yagi_awako20130101.JPG
(やめてよっ)


私と長女が来てからは見事にソリが合わず、夫には従順なのに、
私に対しては犬みたいな唸り声で威嚇し、角で頭突きし、追い回され、、、
それはもう、大変だった。

P1010250yagi_awako20130105.JPG
(まだ認めてないわよっ)



賢いアワ子。
しっかり者のアワ子。

IMG_118720160924yagi_awako20160924.JPG
毒のある草は決して食べないし(キビ太はなんでも食べちゃう)、

首輪と鎖でつないであっても、
一人であればほとんど絡まることがない。
P1100319yagi_awako20151212.JPG
(キビ太が一緒だと二人で絡まっちゃうことが何度もあった)


繁殖期に入るタイミングでオスヤギといなかったためか
妊娠のスケジュールからすっかり逸れてしまったようで、
P1010976yagi_awako20131219.JPG
オスヤギを連れてこようとも、短期嫁入りさせようとも、
誰が相手でも決して妊娠することなく、気難しく、おひとりさまを貫いた。


P1100513yagi_awako20160101.JPG

すっかりおばあさんヤギのアワ子。

大子町に移住すると、冬の寒さが老婆にはつらかろうと
夜は納屋の中に寝かせるようになった。

2月の終わりごろには、私へのツンケンした態度が軟化して
エサをあげたり、移動したりもスムーズにできるようになって、嬉しかったのに。

IMG_6615tagi_awako_sanpo20200201.JPG

思えばそれは、老衰のサインだったのだ。

地面にたいして深く杭を刺さなくとも、鎖を引っ張って脱走しなくなった。
頻繁に座りたがって、斜面などくつろげない場所ではオロオロした。

IMG_6633yagi_awako20200201.JPG

3月初旬、近所を夫や子ども達とアワ子とでお散歩して、
ゆっくりゆっくり歩みを進めつつ、河原の美味しい草をたくさん食べた。

けれど帰り道はもう、すぐ座り込んで、何度も休んで。
「おばあちゃんになったんだね・・・」と子ども達は報告してくれた。

夫は私に「アワ子、そろそろダメかもしれない」と言った。

IMG_7260fukinotou.JPG

翌朝、納屋でアワ子は冷たくなっていた。
夫がエサをあげに行って気がついた。

夫は朝から会議があったから
泣きながらお布団みたいに麻袋をかけて仕事に行って、
埋葬は昼まで待つことになった。

 アワ子がんばったね、がんばったね、
 ごめんね、ごめんね・・・

出勤前の夫は、長いこと撫でていた。


幸せだったんだろうか。満足できただろうか。
もっといい暮らしをさせてあげればよかった。

逝ってしまってから、悔やむことばかり。

IMG_7262kuribayashi.JPG

お昼に舞い戻ってきた夫と相談して、
家のすぐ裏の山の、静かな場所に埋葬することにした。

藪を払い、見晴らしを確認して、場所を決める。
家族みんなで穴を掘ったあと、夫がアワ子を抱えてきた。

夫が泣きながら、丁寧に、きれいにしてあげて、そっと寝かせた。
昔はもっと小さかったのに、大きくなって、おばあちゃんになって・・・
と振り返ると私も(仲が悪かったはずなのに)泣けて困った。

アワ子きれいだね、ねんねしてるね、と子ども達に話しながら
大好きな葉っぱやお花、米ぬかなんかを一緒に埋めてあげた。

IMG_7273kuribayashi.jpg

これからもっと手入れして、
荒れたこの山を、果樹園と畑に戻していく。

きっとマイペースに、お茶を摘んだり栗を拾ったり、
キノコを育てたり果物を植えたり。

そんな私たちの声が響く山の中腹に、アワ子が眠る。

IMG_2493yagi_awako20190502.JPG


「アワ子」登場記事:
家と飼いヤギと私 脱走と柿の話
ゆるゆると アワ子のシンプルな生き様に衝撃!
粟子の嫁入り 愛されてるなぁ〜
野の花散歩 グルメなアワ子の食レポ



* * * お知らせ * * *

まだまだ、ますます、パンデミックですが。

気管支炎や肺炎も、自然療法で。
 ⇒気管支炎を自然療法で治す

トイレットペーパーがなくなっても大丈夫。
 ⇒講演「うんこはごちそう」&災害トイレ術のご報告

貨幣経済に依存しない暮らしに
ダウンシフトを進めていこうと、やっぱり思います。
ラベル:ヤギ 生死
posted by miya at 16:03| Comment(0) | 生き物のこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: