2016年01月28日

赤子の記憶

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人生で最初の記憶は、腰が据わった頃のこと。

それは祖母方の親戚の集まりで、広い座敷で宴会をしていて、
私はまだハイハイができなくて、座らされていた。


0歳の私と、1歳の姉(S)が訪れて
やんややんやと、大人たちは盛り上がっている。


忘れもしない。


「Sちゃんはこんなに器量良しやのに、
 miyaちゃんは・・・えらい、へご(不細工)なねぇー」

「ほんまに、どうしてやろ〜
 お父さんもお母さんもきれいやのにねぇ」

みんなで顔を覗き込んでは、好き放題に言って大笑いしている。


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幼い頃の私は、親曰く「粘土を丸めて潰したような」顔で
「へちゃむくれ」と呼ばれていた。

鼻がぐっと奥に押し込まれて、口がぐっとへの字だった。


とはいえ、赤子にも意思はあるし、話は全部聞いている。
思考力は幼稚園児や小学生と大差なかったんじゃなかろうか。


(こっちが動けんからって!
 何も喋れんからって、ばかにしおって!

 くっそー!!!
 あんたら覚えとけよー!!!)


噴き出す悔しさと怒り、もどかしさや恥ずかしさが
ごちゃまぜになって、赤ん坊の私は「うぁーん」と泣いた。

そうするとまた大人たちは「あらー、泣いた泣いた」と
やんややんやの大賑わい。


(あんたらを楽しませるために屈辱を浴びたり、
 泣いたり、してるんじゃないわーっ!!!)

と心底思ったが、伝えるすべもなく。

着ぐるみみたいな身体や、
「あーうー」しか言えない口が忌まわしかった。



お酒が入って悪乗りした祖父は、私をからかうべく
片手を蜘蛛のように動かしながら畳の上をにじり寄ってくる。

その手の動きは本能的に気持ちの悪いものだったし、
みんなの前で私に何かのリアクションをさせて
また盛り上がろうという祖父の魂胆にも腹が立って、
私はまた「うあぁぁーん」と悔し泣きをした。

それが面白くて祖父は何度も繰り返す。
何度も泣く、周りは笑う。


(やめてー。
 やめてほしいのになんでやめてくれないのー。)

助けを求めて親戚の顔を見ても、誰もが笑顔で、腹が立った。
祖父を恨めしく睨みつけながら、しばらく泣いた。



 人の集まるところは、怖い。
 みんなで、私を笑う。

 嫌がらせをする人は、やめてくれない。
 止める手立ては、ない。


端的に表現すると、こんな嫌悪感が
人生最初の記憶から導き出された、印象だった。

それはその後の様々な経験によって、多少改善はしても
べっとりとこびりついた汚れのように、
私の奥深く、ずっと奥深くに残っていたらしい。


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昨夜は、夫の助けによって
膨大なストレスと向き合う時間を持てた。

その中で、小さい私が泣いているのを見つけた。
イヤイヤしている私。抱っこして守ってほしい私。


眠ろうとする頃には、
人生最初の思い出がずるずるっと引き出されてきて

「だから、人と会うと緊張するんだ」

「だから、自分には悪いことが起きるし
 避けようがないと思っていたんだ」

・・・と、じわじわ、納得していった。


もう32歳になったけれど、子どもも2人もいるけれど、
赤ん坊の私を、もう一度、ゆっくり抱っこしてあげよう、と思った。

大丈夫だよー。大丈夫だよー。 ってトントンして、
残りの人生で、安心させてあげよう。



* * * お知らせ * * *

つくし農園、2月からは新年度になります!
継続の方でお申し込みがまだの方、こちらからどうぞ〜

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自然農のある暮らし、始めませんか?
2016年度プレーヤー募集開始!



* * * まかない日記 * * *

週末の晩ごはん。
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集合日に作った、自然農野菜具だくさんけんちん汁。
庭でとれたカブは、(夫が)いただきものの菜の花と蒸し炒めに。

自然農米のMIXごはんには、
農園のプレーヤーさんからお裾分けいただいた
手作りの味噌漬け筋子を乗せて。

しみじみ美味しかったなぁー。
ごちそうさまでした!

posted by miya at 07:30| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月21日

ヤギとの暮らし 草刈り編

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飼いヤギの粟子(あわこ)と黍太(きびた)の餌やりは
6歳の長女の仕事にしている。

でも、いつも気持ちよく餌やりするわけでもなく
だいたいは後回しになる。

特に朝、寒いから嫌だとか、お腹すいたから嫌だとかで
午前中にちゃんと餌やりができない。

せっかく無言の行をやっているから、毎日うるさく言いたくないし、
でも言わなかったら昼すぎまでヤギたちはお腹をすかせているしで
毎日相変わらずの試行錯誤だった。


そんな折、私の母が数日間滞在して
長女の餌やりに付き合ってくれた。

長女にしてみたら、ばぁばと念願のデートなわけで、
ついでに自転車の練習も見てもらいながら
ご近所へとウキウキ草刈りへ出かけていった。

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(サンタさんの配慮でペダルなしの自転車・・・)


いつもなら1回の草刈りで1回の餌やり分(かそれ以下)しか
刈ってこなかったのだけど、働き者のばぁばが

「刈れるときにどっさり刈っておいたらええがねー
 明日、楽できるやろう〜」

と当日分以上、翌日分もすごい勢いで一緒に刈り集めてきた。

翌朝はつくばに思いがけず初雪が降り、
草刈りに出かけるなんて到底無理で、
ばぁばの先見の明に感嘆したものだった。
 

以来、前日の午後、まだ明るい暖かいうちに
翌朝分の草刈りを済ませておくことにした。

長女のヤギの餌やりは、ちょっと楽になった。
朝は(まだ、毎回朝食前とはいかないまでも)
外に出て、餌をあげるだけで済むのだから。


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冬になり、草があちこちで枯れ始めると
草刈り候補地はどんどん少なくなっていく。

季節どおりに枯れていく雑草のスケジュールとは別に
土地ごとの草刈りのタイミングで、秋から芽生えが始まったところが
今まさに草刈り最適地になっている。

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だいたいの土地(空き地)は除草剤をたっぷり、入念にかけるので
春や夏、見た目に草が青々と茂っていても、
ヤギには与えてはいけない場所も多いのだ。

あの地主さんは除草剤派、この地主さんは放っておいて草刈りだけ、
などと畑への行き帰りにきちんと把握していかないといけない。
(あと、空き地でも絶対に入ったらダメな地主さんも)


JA推奨のモンサント社の除草剤「ラウンドアップ」が一番有名で
日本の農家、おじいちゃんおばあちゃん、おじさんおばさん、
かなりの割合で使っているそうなんだけど・・・

諸外国でどんどん販売禁止になっているこのラウンドアップ、
利権がらみ?アメリカ企業の奴隷?国策?日本は相変わらず・・・
宣伝ばんばん、店頭でも大人気で、恐ろしい。

「売れるから」「推奨だから」で店頭に並べる、売り手のモラルが怖い。
持続可能性を軸に商品を揃えるホームセンター、生まれないかなぁ。

買い手も何も考えないで、CMでやっているから、店頭で山積みだからと
安直に買うのは、農薬に限らず食品でも何でも、無責任だよなぁ。


・・・ヤギの餌やりから横道にそれたけど、
ネガティブなことばかり言ってないで(絶望したくなるしね)、
ポジティブなことを少しずつ、積み重ねていこう。

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この日は大きな袋にバケツ3杯分の刈り草をぎゅうぎゅう押し込み、
さらにビニール袋1つにバケツ2杯分、
仕上げにバケツ1杯の草を刈って、おしまい。

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「その葉っぱ、なんで1本ずつ刈るの?
 根元から一度に刈ればいいじゃない?」

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「あのね、あわこは贅沢だから、おいしい葉っぱしか食べないの。
 わざわざ刈ってあげて残されるとイヤになっちゃうでしょ?
 だからおいしいところだけ選んで取ってるの。」


うわー、贅沢ものだねぇ。丁寧にありがとうねぇ。
長女は意外なほど、草刈りにポリシーが増えていた。



環境関連記事:自然環境を考える絵本 逃げてと言ったところで 野の花散歩
ヤギ関連記事:ヤギとの暮らし 粟子の嫁入り 黍太初登場(蜂に刺されたら…)



* * * お知らせ * * *

つくし農園、今週末の臨時集合日のお知らせをアップしています。
昼食など準備がありますので、出欠連絡はどうぞお早めに〜



* * *  まかない日記 * * *

現時点で最高得点を記録した車麩の唐揚げ。
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これまでは、戻した車麩におろしにんにく&生姜、
醤油とお酒をベースに下味をつけて片栗粉をまぶして揚げていましたが
今回のは、車麩を戻すところから違う。

何を漬けても美味しくできて重宝している、
山形の三吉麹屋さんの玄米麹漬けの素
(どうも商品名は「玄米粕(漬物の素)」なんですが)。

これが野菜を漬けるたびに水分が増えてしまい、
手持ちの米麹を足して調整したり、水分だけ味噌汁や料理に使ったりと
何とか調整してきたのですが、どうにもたぷんたぷんに・・・

そこで、乾燥したままの車麩を何枚か漬けこんで
玄米麹漬けの旨みたっぷり〜、の水分を吸ってもらいました。

ひと晩おいて、別容器に軽く絞り(料理に使います)、
ほどよく締まった車麩を切って、おろし生姜、にんにく醤油をまぶし、
片栗粉をまぶして揚げたときの衝撃といったら・・・!

揚げたてをサクッ!旨みぶわぁ〜!肉汁じゅわ〜!
「何これ!?もう肉いらないじゃん!!」と夫婦で大盛り上がり。

お皿に盛りつけるなりどんどんなくなってしまったので
台所の写真しか残りませんでした〜〜。
posted by miya at 09:03| Comment(0) | 環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月18日

どんど焼き2016

今年は門松がどーんと玄関に鎮座していて、
15日を過ぎると人目も気になってきて
新暦でどんど焼きを行いました。
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いつもヤギを飼っているスペースを拝借し、
ヤギたちには別の場所へ移動してもらって
焚き火を始めたのが、午後3時すぎ。

自然農の基本として、稲藁は田んぼに還すので
門松に使った藁はひと束だけどんど焼きに回しました。
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その他、もうすっかりカラカラになっている南天や松、梅。
竹ははぜると子どもたちが怖がりそうなので、除けておきました。

煙にあたって無病息災を願った、ような・・・?
わーわーしていてあまりきちんと全員でできなかったような・・・?

ここが重要なところだったはずなのですが・・・
少なくとも、みんな煙にあたりました。
次女がひたすら「いやーん」と怖がっていたっけな〜。


火が次第に落ち着いてきたら、用意しておいた団子たちを焼きます。
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昆布入りの残りご飯を、きりたんぽ風にしてみました。
残りご飯だけでは少なかったので、冷凍庫から発掘したお赤飯も参戦。
熱々に蒸して軽くすりこ木で潰したものを、竹串に刺してあります。

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お赤飯の五平餅と、きりたんぽと、耐久性を比べようと思ったのに
土に垂直に刺すと、重みでどちらもズズッと下に落ちてきて失敗・・・

そこか〜。ポイントはそこだったのか〜。。。
結局、危うい串はどんどん回収して、手で持って炙ることに。

大人の手が回らなくなって、次女は離れた場所で待機。
火が怖いのでおとなしく座っています。  おだんごちょうだい〜
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お赤飯にはごま塩を、きりたんぽには自家製味噌をつけて。
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長女の鼻の下が伸びきっております。
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みかんも焼いて、焼き芋も仕込んで、どんど焼きの終了!
食べ終わる頃には5時だったのですが、まだ明るくてびっくり。
日が長くなってきました。



* * * お知らせ * * *

すっかり遅くなりましたが、
つくし農園12月集合日の様子をアップしました。

今週末も臨時集合日ですね!早いな〜〜



* * * まかない日記 * * *

お正月の黒豆の煮汁を、何度も火を入れながら長生きしてもらって
年始のハイカロリー摂取のほとぼりが冷めた頃、お汁粉にしました。
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白玉団子は半分くらいお豆腐を配合していて、ぷるんと柔らか。
おいしくいただきました^^

ラベル:伝統行事 焚き火
posted by miya at 18:31| Comment(0) | 丁寧に暮らす | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする