もう疲れたなー、何にも作りたくないなー(特にお団子)、
そんな気持ちで夕焼けを見ていた。
しかし、相変わらず年中行事を大切にする夫は、
日中の疲れも何のそので、やる気満々。
長女にススキを採りに走らせた。
畑のバイオトイレ付近は、背の高いススキを意図的に残してあり
周囲からの目隠しになっている。
隣接する芝畑のご夫婦も、いつもは雑草憎しと
強烈な除草剤をこちら側にもかかるほど散布するのに
この日はうちの畑からススキを刈っていったそうな。
ススキは高さが2メートル半ほど。
悪戦苦闘したらしい長女が、やっとススキを5本持って戻ってきた。
夫はそれを受け取り、さらに田んぼの周囲に生やしてある雑草で
雑草屋風のお月見飾りを仕立てていった。
野趣あふれる感じ、夫そのもの!
お月見団子を作ろうにも白玉粉も団子粉もない。
夕方買い物に出ようと思っていたけど、もうヘトヘト。
夫が朝炊いてくれたごはんを搗いて
お餅団子にすることにした。
残りご飯をすり鉢とすりこ木で搗くと、
あっという間にお餅になった。
夫に訊いたところ、偶然にも
白米(ウルチ)3、自然農の緑米(モチ)2、自然農の赤米(モチ)1の
配合で炊いてあったから、半分はもち米なのだった。
長女に15個ぴったりに丸めてもらい、お月見の始まり。
数日前から折り紙で作ったと言うお月見団子&うさぎも飾った。
収穫に感謝するお月見。
ススキは、時期的に間に合わないお米の代わりだという。
確かに、うちはまだ稲の花がやっと咲き終えた頃。
でも慣行農なら、田植えや稲刈りが前倒しになっているおかげで
十分に稲穂をお供えできるということになる。
もちろん畑の作物も、ということで
きたあかりとアンデスレッドを蒸かして15個積み上げた。
私たちの身体は、間違いなくお月様とつながっているし
畑の野菜たちも、お日様だけじゃなくお月様の力も受けて育っている。
ぴかぴかと明るいお月様を眺めながら、
秋の虫たちの美しい声に耳を傾けながら、
家族でいろんな話をした。
平和に月を見上げられることも、
ありがたいことだと思いながら。
お月様にお供えしたあとは、食卓へ。
お餅団子は、夫特製のごまきなこをつけて食べる。
白ごまをよくよく擂って、きなこたっぷり、塩少々、
それに「今日だけ特別だよ〜」とてんさい糖も加えた。
白すりごまを加えることで
香ばしさとジューシーさ、味の深みが加わって
今まで食べた中で一番おいしいきなこだったなぁ。
長女が折り紙に熟達しているのにも感心したし、
搗いたお餅を残すことなく、均等に15個に丸めたのも驚いた。
夫が行事を大切にするところも嬉しかったし、
しっとり静かにお月見の夜を過ごせたのは幸せだった。
うまく表現できないのだけど、
ハロウィンやクリスマスでは感じることのできない、
日本人の遺伝子が震えて懐かしがっているのを感じた。
深く呼吸をするような、瞑想するような、澄んだ心持ち。
つい毎日をせわしなく過ごしてしまう自分に訪れた、静謐な夜だった。
* * * まかない日記 * * *
庭のグリーンカーテンからとれるゴーヤも
そろそろ終盤。来年のために種採りも始めました。
肌寒くなってきたこの季節、きゅうりは煮て、あんかけに。
ごちそうさまでした!